在留資格「特定活動」とは?
在留資格「特定活動」は、在留資格決定の判断基準として類型化されている入管法別表の第1~4の表に該当していない活動をを行おうとする外国人のために、上陸又は在留許可をする場合に与えられる在留資格です。特定活動については、法務大臣があらかじめ告示で定めた活動に限るとされており、入管法7条1項2号かっこ書に定められています。この告示は特定活動告示と高度人材告示で構成されていましたが、その後の入管法の改正で、高度人材告示は在留資格「高度専門職」に事実上譲られています。あらかじめ定められた告示は「告示特定活動」と言われ、在留資格認定証明書の交付対象になっています。
一方、この告示の対象にならないものは、「告示外特定活動」と呼ばれています。これは、在留資格認定証明書の対象にならないため、他の在留資格(例えば、短期滞在など)から特定活動へ変更許可の申請をすることになります。
「特定活動」の在留資格は、外国人個々の活動内容によって在留を認めるかどうか判断されているものなので、指定された活動以外の活動をしようとする場合は、在留資格変更許可が必要になります。
「告示特定活動」の内容
在留資格「告示特定活動」は、法務大臣によってあらかじめ告示により指定された活動内容で現在50種類あります。かなり特殊なものもありますが、代表的なものは以下の通りです。
(1)5号 ワーキングホリデー
(2)9号 インターンシップ(外国の大学の学生の就労)・・・外国の大学生が学業等の一環として日本の企業で実習を行う活動に従事しようとする時、日本の公私の機関から報酬を受ける場合に「特定活動」の在留資格を得ることができます。
(3)12号 サマージョブ・・・外国の大学の夏季休暇等の期間を利用して、日本の公私の機関から報酬を受けて3ヵ月を超えない期間内に、その大学が指定する機関の業務に従事する活動を行おうとする外国人に対して、単位取得の対象にならないものでも「特定活動」の在留資格を与えることが可能です。
(4)16号~24号、27号~31号 インドネシア・フィリピン・ベトナム EPA(二国間経済連携)看護師、介護福祉関係
(5)33号 高度専門職外国人の就労する配偶者
(6)44号 外国人起業家・・・経済産業大臣が認定した外国人企業活動管理支援計画に基づき起業準備活動計画の確認を受けた者が対象です。一年を超えない期間で本邦においてその企業準備活動計画に係る貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動及びその活動に付随して行う報酬を受ける活動又は本邦においてその企業準備活動計画に係る貿易その他の事業の経営を開始した後引き続き当該事業の経営を行う活動が対象になります。
(7)46号 本邦の大学卒業者・・・法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて、当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動が対象になります。
(8)50号 スキーインストラクター
「告示外特定活動」の内容
「告示特定活動」に定められていないが、過去に法務大臣が人道上その他の特別の事情を勘案して個々の外国人に対して特に認めた活動で、先例として今後も認められる活動とされたものが「告示外特定活動」です。具体的には、以下のものがあげられます。
(1)継続就職活動大学生、継続就職活動専門学校生及びその家族の継続在留活動(卒業1年目の就職活動)・・・継続就職活動者が、卒業した教育機関の推薦があり、卒業前から就職活動をしていることが確認され、在留状況に問題がないなどの判断がされるた場合に許可されます。原則として6か月の在留期間が得られ、卒業から1年未満で1回の更新が認められています。
(2)地方公共団体が実施する就職支援事業に参加する継続就職活動専門学校生及びその家族の継続在留活動(卒業2年目の就職活動)
(3)就職内定者及びその家族の継続在留活動
(4)起業活動外国人及びその家族の継続在留活動・・・大学・大学院在学中から企業活動の準備を行っている外国人に対して卒業後の「経営・管理」への在留資格変更許可がされるまでの一定期間について認められます。最長で卒業後6ヵ月在留することが可能となります。起業に必要な事業所の確保や具体的な事業計画書の提出など確実に起業しようとしていることが必要です。
(5)出国準備のための活動・・・在留期間内に在留期間更新申請・在留資格変更申請・在留資格取得申請をしたが、在留期間経過後に不許可の判断が示された場合に、その外国人を救済するために「特定活動」への在留資格変更許可がされる扱いになっています。ここに至る経緯や在留情状が悪くないという要件があり、すべての外国人がこの扱いを受けられるわけではありません。本人から申請内容変更申出書を得たうえで、30日以下の在留期間が決定されます。ただ、「特定活動」への変更を受けられなかった場合や本人がこの変更に必要な申出書を提出しない場合は、正式の不許可処分を受けたこととなるため、その場で警備部門へ通報され、不法残留者として収容・退去強制手続きが取られます。
(6)人身取引等被害者の在留活動
(7)連れ親(日本又は世紀に在留する外国人の恒例の親扶養)
(8)連れ子(「家族滞在」の母親の未成年の連れ子で、扶養者である継父との間に養子関係がなく「家族滞在」の在留資格がない場合
(9)両親を失った孫で、日本国外に適当な扶養者がいないため、日本において祖父母による扶養を受ける場合
(10)疾病等による療養者(日本の医療機関において医療を受けることを必要とする特別な事情を有する者が行う疾病のため療養する活動及び日常的な活動)
(11)国籍の属する国又は常居所を有していた国」において特別な事情により在留を認める希望する者
(12)「教授」又は「報道」の在留資格で在留する者の家事使用人
(13)日米地位協定該当者の家事使用人
(14)「永住者」等の家事使用人(「経営・管理」又は「法律・会計業務」の在留資格を有する者が入管法別表第2の在留資格を取得した場合で、当該入管法別表第2の在留資格を取得した場合で、当該入管法別表第2の在留資格を取得以前から雇用していた同一の家事使用人を引き続き雇用する場合)
(15)日米地位協定該当者の扶養を受ける者
(16)正規在留者の介護者
(17)障害教育を受ける者
(18)日本の教育機関に在籍する実子の監護・教育
(19)博覧会に参加する者・・・国、地方公共団体又はこれに準ずる機関が主催する博覧会に参加する者で、外国の紹介、民芸品の販売、調理等の就労活動を行うものが対象です。
(20)難民とは認定されないものの、人道的配慮が必要な者として、在留特別許可された者・・・入管法上の難民認定されないが、人道的配慮が必要なものとして、在留特別許可されると、原則「特定活動」の在留許可が認められます。更にこの資格を得て3年を経過した場合は「告示外定住」への変更が認められる場合があります。
(21)同性婚
(22)求職活動者・自宅待機者(雇用先から解雇、雇止め又は待機を通知された者)・・・自己の都合によらない理由で解雇、雇止め又は待機を通知され、経済的に困難な状況に置かれている「技術・人文知識・国際業務」等の就労資格を有する外国人が対象でこの在留資格が付与されます。自己都合による退職の場合は、「短期滞在」の在留資格が付与されます。
(23)「外交」の在留資格を有する者の子
(24)EPA看護師、EPA介護福祉士
(25)難民認定申請者
(26)特定日本料理調理活動
(27)ハラール牛肉生産活動
(28)その他の類型・・・それぞれの類型には、許可されるためには詳細な判断基準があります。また、上記以外にも類型化されていない活動や類型になじまない活動について、「告示外活動」として認められる可能性があります。ただし、良好な在留状況や必要なサポート体制が求められることは当然です。
ここ具体的な判断となりますので、国際業務に詳しい行政書士の支援を受けることは不可欠です。