在留資格「定住者」とは?

query_builder 2023/12/26 行政書士 就労ビザ 相続 会社設立 国際結婚 相談

在留資格「定住者」は、法務大臣がその外国人の特別の理由を考慮し、一定の在留期間を指定して日本での在留を認める在留資格を言います。

この在留資格を有する外国人が日本国に在留中に行うことができる活動に制限はありません。永住者との違いとして永住者が無期限に日本に在留できるのに対して、定住者は指定された一定の在留期間の範囲で在留できるに過ぎないところにあります。

あらかじめ法務大臣が「定住者告示で定めた活動」を行おうとする外国人に対して、入国審査官は「定住者」の在留資格を決定できます。この決定による在留資格を「告示定住」と呼びます。

これに対して、「定住者告示で定めた活動以外の活動」を行おうとしている外国人に対して、その外国人の特別な理由を考慮して日本での在留を認め、法務大臣自身が決定を行う場合にも「定住者」の在留資格が許可されますが、これは「告示外定住」と呼ばれています。

「告示定住」に該当する場合は、「定住者」の在留資格認定証明書の交付を得られますが、「告示外定住」の場合はこれを得られません。そこで「告示外定住」を得るためには、他の在留資格からの在留資格変更申請を行うことにより「定住者」の在留資格を取得することになります。

「告示定住」の内容

「定住者告示」によりあらかじめ定められた地位を有する外国人が対象とされ、具体的には以下の通りです。

(1)定住者告示1号から4号


定住者告示1号及び2号は、第三国定住による難民受け入れ対象者を定めたものです。

定住者告示3号4号は、日系人に係る地位を定めたものです。


(2)定住者告示5号


日系人の配偶者等について定めたものです。


(3)定住者告示6号


日本人、特別永住者又は身分系在留資格をもって在留する外国人の扶養を受けて生活する未成年・未婚の実子について定めています。


(4)定住者告示7号


日本人、永住者若しくは特別永住者又は1年以上の在留期間を指定されている「定住者」の子のうち、日本人の特別養子以外は当然に入国在留が認められていないので、この7号でこれらの者の被扶養者として生活する6歳未満の者について「定住者」として在留を認める規定です。


(5)定住者告示8号


中国残留邦人等とその親族に係る地位ある者についての定めです。

「告示外定住」の内容

「定住者告示に定める地位を有する者としての活動」にはあたらないが、「定住者」の在留資格が認められるものとして以下の「告示外定住」があります。


(1)認定難民


法務大臣は、在留資格を取得していない外国人に対して難民認定をする場合、入管法61条の2の2第1項各項に該当する者を除き、「定住者(告示外定住)」の在留資格を、一律で許可します。また、難民認定を受けている外国人から定住者への在留資格変更申請があった時又は定住者の在留資格の取得申請があった時は、入管法61条の2の2第1項1項に該当する場合を除き、同様に「定住者(告示外定住)」の許可をします。



(2)日本人、「永住者」又は特別永住者である配偶者と離婚後引き続き日本に居住を希望する者(離婚定住)


(3)日本人、「永住者」又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き日本に在留を希望する者(死別定住)


上記(2)離婚定住、(3)死別定住 の場合、次の4要件のいずれにも該当する者であることが必要です。


①日本におおむね3年以上正常な婚姻関係・家庭生活をしていたと認められる者、②生計を営むに足りる資産または技能を有すること、③日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと、④公的義務を履行していること又は履行が見込まれること


別居していた期間のある場合でも夫婦としての相互扶助等が認められれば許可されます。離婚定住の場合は、離婚に至った理由や事情も重視されます。離婚・死別共に14日以内の届出が必要です。かって不法滞在状態であったが、在留特別許可により正規滞在となっている場合、許可されるハードルは高いのですが可能性はあります。



(4)日本人の実子を看護・養育する者(日本人実子扶養定住)


①生計を営むに足りる資産又は技能を有していること、②日本人との間に出生した子を監護・養育している者で、日本人の実子の親権者であるか又は現に相当期間当該実子を監護・養育していることが認められること、が必要です。


日本人との婚姻期間がおおむね3年に満たなくても「定住者」への在留資格変更が許可されるケースは多くあります。日本人父と外国人母との間に法的な婚姻関係が要求されていませんので、実務上例えば、愛人として外国人母が出産した実子も対象になります。外国人親には自活能力が備わっていることが望ましいのですが、一時的に公的扶助を受けていても、近い将来自活能力を備える予定や計画を説明することにより許可される場合もあります。



(5)日本人、「永住者」又は特別永住者との婚姻が事実上破綻し、引き続き在留を希望する者(婚姻破綻定住)


次の①又は②に該当し、かつ③及び④に該当する者が対象になります。


①日本において、3年以上正常な婚姻関係・家庭生活をしていたと認められる者、②正常な婚姻関係・家庭生活が継続後にDVによる被害を受けたと認められる者、③生計を営むに足りる資産または技能を有すること、④公的義務を履行していること又は履行が見込まれること


婚姻関係が破綻しているとは言えない場合は、現在の「日本人の配偶者等」あるいは「永住者の配偶者等」の在留資格の期間更新の可否の問題となります。



(6)特別養子の離縁により「日本人の配偶者等」の在留資格該当性がなくなった者で、生計を営むに足りる資産又は技能を有する者(特別養子離縁定住)


①日本において養親に扶養されていたと認められる者、②生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、の2点に該当する者であること



(7)「難民不認定処分」後、特別な事情を考慮して在留資格「特定活動」により、1年の在留期間の決定を受けた者で、在留資格「定住者」への在留資格変更許可申請を行った者(難民不認定処分後特定活動定住)


①入国後10年を経過していること、②在留資格「特定活動」の決定を受けたのち、3年を経過していること、の2点のいずれかに該当していること



(8)両親が既に帰国し又は行方不明の未成年子や児童虐待被害を受けた未成年子



(9)かって告示定住としての「定住者」の在留資格を有していた者



(10)就労系の在留資格により継続して10年程度以上滞在している者


就労系の在留資格による一定年数以上の滞在を理由とする「定住者」への在留資格変更は、基本的には行わない実務運用となっています。

ただ、失職等の理由で在留資格を喪失した場合などで当面の独立生計能力が証明されている場合には、その必要性を説明することにより認められる可能性もゼロではありません。



(11)出国中に再入国期限を徒過した「永住者」



(12)上陸拒否事由に該当することが発覚した「永住者」


日本で同居する配偶者や子供がいるなど家族の結合が配慮されるべきと判断できる場合は「定住者」として上陸許可を受けられる可能性があります。



(13)「家族滞在」又は「公用」の在留資格でおおむね小学校3年以降の日本の義務教育を終了し、日本の高校を卒業する者


日本社会での十分な定着が認められその後の在留状況に問題がなければ、「特別な理由」があるものとして許可の可能性があります。



(14)その他の類型


上記(1)から(13)以外の場合で、在留を認めるべき必要性及び日本への定着性が高く、独立生計要件や素行要件に特に問題がない場合に「特別な理由」があるとして、告示外定住として「定住者」が認められる可能性があります。



他の在留資格に該当しないが在留を認める格段の理由がある場合、この「定住者」や告示外特定活動の「特定活動」に該当する可能性があります。

具体的なケースについては、国際業務に詳しい行政書士に相談されることをお勧めします。








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