「技術・人文知識・国際業務」ビザの要件を解説します

query_builder 2024/02/14

外国人が日本で就労するためには就労可能なビザの取得が必須です。就労ビザは種類が多くありますが、ほとんどの人が「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得します。

「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得のためには主として以下の6つの要件が必要です。それぞれの要件のポイントを説明します。



本人の経歴(学歴又は職歴の要件)


学歴要件として、大学または専門学校の卒業が必要です。

海外の短期大学卒の場合、日本の短期大学士以上に相当する学位を取得していること又は日本の専門学校卒以上の学歴で専門士以上の学位を取得していることが必要です。卒業証明書の学位名の記載で確認します。

一部海外の短期大学で日本の大学等の要件を満たしていないものがあり、その場合は学歴として認められません。


職歴要件として、その業務に10年以上(又は3年以上)が必要です。

日本で就労予定の業務に関連する専門的・技術的知識を必要とするため、実際に勤務していた企業等から在職証明の取寄せが必要です。

該当会社が既に倒産等でなくなったりして証明資料の入手が困難な場合はビザの取得も困難です。

在職証明書には必要記載事項があり、特に職務内容について就労先の企業での業務内容との関連性がわかる具体的なものが必要です。



専攻科目と職務内容との関連性


大学等で体系的に学び習得した専門的・技術的素養を活かして活動することが前提となっているので、専攻した科目職務内容との関連性が必要です。

大学については、比較的広く関連性を認められていますが、専門学校等については完全に一致する必要があります。



③企業との間の労働契約(内定を含む)


在留資格申請に際し雇用契約書労働条件通知書の提出が必要です。ここで労働法規との適合性が確認されます。

雇用契約書の中で「有効なビザ取得を条件に採用する」との文言が記載されるのが一般的です。

契約の形態は雇用契約に限らず、派遣・業務委託などもビザ取得は可能ですがハードルは上がります。



就労先企業の財務状況及び外国人の雇用状況


就労先企業は外国人が安定的・継続的に就労可能な企業であることが求められます。

従って、申請に際し直近の決算書を提出し財務状況を証明します。

さらに新設会社や新設事業部門の場合は、事業計画書をを添付して具体的に内容を説明します。

赤字会社の場合は、現在の経営状況と黒字化のための具体的な施策を示した事業計画の提出が必要になります。公認会計士や中小企業診断士が作成したものが必要になる場合もあります。

過去に採用した外国人が失踪したり不法就労助長罪に問われるなど入管法に違反したことのある企業の場合は審査が厳しくなります。



用の必務要性・業量


業務が学歴と関連していても、その内容や業務量が外国人を雇用する必要性がないあるいは十分な業務量が見込めないと判断されると許可されません。

本当に働いているのか、空いた時間に何してるのかという疑念や、単純労働・接客業務など「技術・人文知識・国際業務」で想定する業務に該当しないのではないかと考えられるからです。



日本人と同等以上の給与


国籍により不当に日本人との間に給与格差を設けることも禁じています。

給与には通勤手当や住宅手当のような実費弁償的なものは含みません。

日本人従業員がいない場合は地域の同種類の企業の賃金体系を参考に判断されます。


最低賃金以下の場合は労基法違反となるため就労ビザは取得できません。

例えば、東京の最低賃金は2023年11月で時給1,113円なので、月180,000円では1日8時間・月21日勤務では最低賃金水準に達しません。

具体的に計算することが必要です。

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