外国人の方が転職する場合の留意点について解説します。
転職と一言で言っても実際はイロイロなケースがあります。
まず転職の動機から見てみましょう。
転職の多くの理由は、給与に関するもの、労働時間に関するもの、労働環境に関するもの(物的なもの、精神的なもの)などその他個人的理由も多くあります。
そして現在まだ現職にいるのか、既に退職届を提出した後かなどにより状況は大きく異なります。退職届を提出した後は、理由の如何を問わず撤回はできないということは知っておく必要があります。
退職して転職先が決まっていない時は、現に有する在留資格に該当しない状態になっています。このため退職後3ヵ月を経過すると在留資格取消事由に該当します。転職先が決まり就職できたとしても、転職先の内容次第では、在留資格更新申請が不許可になるケースもあります。これは、外国人本人の問題と就労先に起因する問題があります。
現在有する在留資格で認められた仕事の範囲であっても安心できません。
例えば、代表的な就労資格の「技術・人文知識・国際業務」の場合、そもそもの主要な許可要件は以下の通りです。
➀本人の経歴(学歴又は職歴)
②専攻科目と職務内容との関連性
③企業との労働契約(内定を含む)
④就労先企業の財務状況・外国人受け入れ状況
⑤雇用の必要性・業務量
⑥日本人と同等以上の給与
などです。
当初の在留資格はこれらの項目の該当性を確認した上で許可されています。では、転職先の仕事はこれとどこが違のでしょうか?
➀前職の仕事と業務内容に変化はあるのか。変化があると、本人の経歴・専攻科目との関連性がチェックされます。
②雇用形態は変化あるのか。正規雇用、契約社員、アルバイト、業務委託、請負、派遣等選択肢はいろいろありますが、就労形態が変わると、労働条件・環境が変わるため、新規の就労認定の時と同様に一から判断し直しになります。
③給与が代わるのか。減給になる場合や、労働時間が増える場合は要注意です。
④勤務地に変更があるのか。住所変更手続き、通勤時間などに影響します。
⑤会社の規模が変わるのか、会社の安定性・継続性。小規模会社に転職の場合はその会社の状況は詳細確認されます。
⑥人事異動で仕事が代わる。人事異動でも業務内容はチェックされます。
⑦年金健康保険支払い状況。。新旧会社共に給与天引きの場合は問題ありませんがそうでない場合は確認が必要になります。
これらの諸点をクリアーして初めて許可されます。前職会社への就労認定時と同レベルの審査がされています。
従って、外国人が安易に自己判断して、転職による在留資格更新は当然できるとして申請し失敗するケースがあります。
不許可になるとその段階で在留できなくなるため、再就職先を大至急探し直すあるいは他の在留資格に変更申請しない限り、出国しなくてはならなくなります。
このようなリスクを避けるために「就労資格証明書」制度があります。
転職先で有効な在留資格を取得できるかはそう簡単にはわかりません。
そこで、転職先が絞りきれた段階でこの証明書を申請し、許可を得られれば在留資格更新時にこの証明書を添付することにより比較的容易に更新手続ができるため、安心して転職が可能になります。受入れ先企業も安心です。
ただ、この申請も許可が出るのに相応の期間がかかるため、万一不許可の場合に別の就労先を探す余裕も考えると、目安として在留資格期限到来の6ヵ月前くらいまでと言われています。
これより短い期間にする転職はかなりリスクが高くなります。
いずれにしても国際関係に詳しい行政書士の支援を受けることをお勧めします。
行政書士 Office Ueda
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