「家族滞在」ビザは一定の在留資格をもって日本に在留する外国人の扶養家族を受け入れるために設けられた在留資格です。
扶養を受ける者を対象としているため、自ら就労しそこで得られる収入によって生活する者は対象になりません。これらの方は就労可能な別の在留資格の取得を目指すべきとしています。
扶養を受けるとは、「扶養を受ける必要がありかつ現に扶養を受けている者」を意味します。
配偶者の場合は、相手配偶者に経済的に依存している状態にあること、子にあっては親の監護教育を受けている状態にあることを意味します。
従って、経済的に自立している配偶者や子は対象になりません。
「家族滞在」ビザの取得者は、就労を目的としていない人が対象のため就労活動はできません。
ただし、資格外活動として入管から許可されている場合は、1週28時間以内までのアルバイトは可能です。
このような「家族滞在」ビザですが、子が成長し高校を卒業する時期になると問題が生じていました。
高校卒業後大学に進学するあるいは高等専門学校に進学するのであれば、「留学」ビザに変更しその卒業後に就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得することが可能です。
しかし、高校卒業後直ちに就職を希望している場合は就労ビザを取得する要件(大学等の学歴や実務経験10年以上)を満たさないので、日本では事実上働けないという問題がありました。
このような中で2015年に「家族滞在」ビザから「定住者」ビザ・「特定活動ビザへの変更を認める要件緩和がなされました。
「家族滞在」ビザで在留する者で、日本において義務教育の大半を終了し、かつ日本の高校を卒業する者から「定住者」(告示外定住者)、「特定活動」(告示外特定活動)への在留資格変更申請があった場合には、日本国社会への十分な定着性が認められ、その余の在留状況を確認し特段の問題がないときは「特別な理由」があるものとしてその変更を許可するとするものです。
「日本において義務教育の大半を終了」とは、主として語学能力の観点から、おおむね小学校3年以降の在学(高校卒業までおおむね10年以上)を意味しています。
「定住者」ビザ変更への具体的な要件をまとめると以下の通りになります。
➀日本の義務教育を修了していること
②日本の高等学校を卒業あるいは卒業見込みであること
③入国後、引き続き「家族滞在」での在留資格をもって日本に在留していること
④入国時18歳未満であること
⑤就労先が決定していること(内定を含む)
⑥住居地の届出等、公的義務を履行していること
などです。
審査のポイントとして、日本に生活基盤があること、生活維持能力の確認があります。
「特定活動」ビザ変更への具体的な要件をまとめると以下の通りになります。
➀「家族滞在」での在留資格をもって日本に在留していること
②入国時18歳未満であること
③我が国の高等学校を卒業あるいは卒業見込みであること
④就労先が決定していること(内定を含む)
⑤住居地の届出等、公的義務を履行していること
⑥ 申請に係る活動が、他のいずれの在留資格にも該当しないこと
⑦扶養者が身元保証人として本邦に在留していること
審査のポイントとして、日本に生活基盤があること、生活維持能力の確認、申請人が高等学校に編入しているときは日本語能力試験N2相当の日本語能力を持っていることがあげられています。
「定住者」ビザは、単純労働や風俗営業も含むどのような仕事にも就労可能です。
「特定活動」ビザは、風俗営業を除くフルタイムの業務であればあらゆる業務に従事可能で、風営法の規制対象となる店舗でも事務職・清掃業務などで働けます。
行政書士 Office Ueda
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