「国際結婚」②離婚の仕方

query_builder 2024/02/08
永住権 配偶者ビザ

国際結婚をしてますが離婚を考えてます。離婚の仕方を教えてください。」新宿に住む国際結婚している奥様からの切実な悩みでした。


日本で離婚というと協議離婚が大半ですが、外国で協議離婚は必ずしも多数派ではなく、離婚そのものを認めていない国もあります。


どちらの国の法律に従って離婚をするのか、日本で離婚訴訟を起こしたり日本の役所に離婚届けを出しても外国人の母国でも効果があるのかなど疑問は絶えません。


日本人と外国人との離婚は、離婚原因や離婚の効力、離婚の方法などどちらの国の法律が適用されるのかが問題となり、離婚における準拠法の問題と言われています。


法の適用に関する通則法25条は、「夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による」としています。


ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるとき、、日本の法律によるとします。(同法27条但し書)

従って日本で問題になるときは通常日本法が適用されます。


「常居所」とは聞きなれない言葉ですが、単なる居所とは異なり「相当期間居住する場所」とされ、居住年数・目的・状況など具体的な事情をもとに判断されます。


日本で協議離婚をする場合、外国人の相手方が離婚に同意しているのであれば、市区町村長への届出(民法763条)により行います。

日本人配偶者が日本に常居所があると認められれば即受理されます。(住民票で証明)


協議離婚自体を認めていない外国人の母国では、離婚は成立していません。その場合は、相手が離婚に反対しているときと同様、裁判所が関係した手続きが必要になります。

裁判所が関与する手続きとは、調停離婚・審判離婚・裁判離婚を言います。


この場合、国際裁判管轄が問題となり相手が日本にいる場合は日本に国際裁判管轄が認められますので、日本民法に従って離婚の可否が判断されます。


調停は相手方の住所地を所管する家庭裁判所か当事者双方が書面で合意した家庭裁判所に申し立てます。(家事事件手続法245条)

調停は双方が合意することが前提で、合意できないと調停は成立しません。

調停が不調の場合、相当と認めるとき裁判所が職権で離婚の審判をすることができます。(家事事件手続法284条)


離婚訴訟を提起することもできます。(家事事件手続法257条)

離婚の当事者が普通裁判籍を有する地を管轄する家庭裁判所に提起するのが原則です。

準拠法は日本民法なので民法770条の要件を満たす場合は、相手方の反対があっても離婚判決が出され、これにより市区町村で離婚届は受理されます。

相手方の母国が離婚を認めていない場合でも、通則法27条により日本での離婚は成立します。

しかし、日本以外の国で離婚手続きする場合は、準拠法が日本法ではないので離婚できるとは言いきれません。


さらに、日本法で離婚が成立しても外国人の母国法で離婚が成立しているとは言えません。国によっては婚姻関係が継続しているとされることもあります。民事訴訟法118条はこのような場合の取扱いを定めています。


相手方が離婚に同意せずに日本を出国し国に帰ってしまった場合は、裁判による離婚の方法しかありません。

日本に国際裁判権のある場合は日本民法によりますが、日本に国際裁判権がない場合はその外国人の居住している外国で離婚の手続きを取ることになります。当該国の離婚制度の調査から始めることになります。


離婚が成立すると「日本人の配偶者等」ビザや「永住者の配偶者等」ビザの場合、在留資格変更手続きが必要になります。







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