日本国内で外国人が刑事事件に関わってしまった場合、外交官その他条約や国際法上の特権が認められている人以外は日本人と同様の刑事手続きが進んでいきます。
犯罪が発生すると通常警察が捜査を行い被疑者を検挙します。被疑者は逮捕されると、まず警察官による取調べがあり、48時間以内に検察庁に送られます。検察官が捜査を行う上で勾留の理由と必要性があると判断すると、24時間以内に裁判官に拘留請求がされます。
拘留請求がされると裁判官による勾留質問がされ、拘留するかどうかが判断されます。裁判官が勾留の理由や必要性がないと判断すると釈放されます。
拘留されると原則として拘留請求の日から10日間留置され、その間に捜査が終結しない場合はさらに10日以内の日数で延長されます。
検察官は拘留期間内に起訴するかを決めます。処分保留又は不起訴の場合は釈放されます。
起訴された場合、裁判所でその事実が審理され有罪・無罪の判決がなされます。
被告人または被疑者は何時でも弁護人を選任できると定められています。(憲法37条3項、刑事訴訟法30条1項)
取り調べは日本語でなされ、供述調書も日本語で作成されます。
外国人は、日本の法律はもとより、日本語そのものの理解も十分でないこともあります。捜査段階で通訳をつけてもらえず内容を理解しないまま供述調書が作成されてしまう恐れもありますので、早期に弁護人と接見(面会)する機会を持ち、アドバイスを受けることが必要です。
弁護人の選任権は、被疑者(被告人)本人だけでなく、配偶者・直系親族・兄弟姉妹なども持っています(刑事訴訟30条2項)
被疑者に対して勾留請求がされたり拘留状が発付されている場合で、被疑者が経済的な理由で自費で弁護人を選任できない場合は、国選弁護人の選任を裁判所に請求することができます。(刑事訴訟法37条の2)
弁護人を依頼したいが被疑者国選対象事件にあたらず、弁護人のあてもないときは当番弁護士制度を活用する道があります。
これは、各地の弁護士会が設けている制度で、初回の接見に限り、弁護士会の費用負担で弁護士を派遣してくれる制度です。日本語の通じない外国人の被疑者についても同様に対応してくれます。
当番弁護士と初回接見できたが、その後も弁護を依頼する場合は私選弁護人の選任として相応の経費がかかります。
拘留中は国選弁護人の依頼の道は開かれていますが、拘留前に経済的な理由で弁護人を依頼できないようにならないために、日本弁護士連合会が被疑者弁護依頼制度を実施しており、一定の条件付きですが弁護人の費用と通訳費用等の実費を援助する制度があります。
この制度は法テラスに業務委託されているので、法テラスに相談することとなります。援助の範囲は、法テラスでの審査次第とされていますが、実際は起訴不起訴の判断が出たのち、弁護人が費用償還が困難との報告を法テラスに報告するとほぼ償還免除されているようです。
起訴前の保釈は、制度自体が日本の刑事訴訟法にないため、検察官や裁判官に拘留請求やその延長をしないよう働きかけたりする必要があります。
弁護人以外の接見は、被疑者が勾留された後にしかできません。
しかも外国語で接見しようとすると弁護人の場合と異なり、通訳費用は被疑者(被告人)負担となります。
接見禁止決定がされていないか、物の差入れ等が制限されていないか事前に確認が必要です。
接見禁止されていても書籍の差入れは可能なのが一般的ですが、外国語の本は弁護人以外の人が差し入れるのは事実上困難です。
さらにこの分野について、ウイーン条約は領事への連絡につきを定めています。(36条1項)
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