外国人は、出国の際、入国審査官による出国の確認を受ければ特別の手続きは不要で、出国してしまえば日本との関係はなくなります。
しかし、外国人が出国後、再び日本に戻って出国前と同様の在留目的で在留しようとするためには、新たに査証申請の手続きを取らなけらばならないなど相当の時間と手間がかかります。
しかも、査証が発給されても出国前と同様のビザを取得できる保証はありません。さらに、日本にいた居住期間の実績も消えてしまいます。このことは永住者や特別永住者についても同様です。
このような不便さを解消する手段として再入国許可という制度ができました。再入国許可を受けて出国すれば、査証手続きが免除され、簡便な入国上陸審査手続きで上陸許可を受けられます。また、出国中も在留が継続しているとする扱いを受けることができます。
再入国許可申請をする者は、再入国後も出国前と同じ目的で在留すること、出国前に許可された在留期間または本邦に在留しうる期間の満了日までに再入国することが前提です。
実際に申請するには、旅券(パスポート)、在留カードを添えて入管に再入国許可申請書を提出することにより行います。
再入国許可の有効期間は最長5年(特別永住者は6年)ですが、残りの在留期間が5年を満たない場合は、その期間の満了日までに再入国が必要です。
再入国許可には、1回限りのものと、再入国可能期間は何回でも再入国に使用可能な数次再入国許可があります。
再入国許可を受けて出国中に、病気その他の理由で日本に戻れなくなった場合は、最寄りの日本国大使館や総領事館等で再入国期間の延長申請が可能です。その理由が認められると、1年を超えずかつ再入国許可が効力を生じた日から6年を超えない範囲で、有効期間の延長が許可されます。
許可された有効期間内に日本に再入国しないときは、既にある在留資格は消滅します。
再入国制度には、より簡便な方法で再入国できるようにする制度として「みなし再入国制度」があります。(入管法26条の2)
在留資格のある外国人が、有効な旅券を所持して出国する際に、入国審査官に対して再入国の意図のあることを表明して出国した場合、再入国の許可を受けたものとみなすとするものです。
「みなし再入国の許可」は1年間(出国中に在留期限の来る場合はその期限まで)で、再入国許可の有効期間の延長の許可を受けられません。
手数料は不要です。
出国の時に在留期間が既に満了している外国人は、不法残留状態にあるため退去強制事由に該当しています。従って、不法残留状態のままでは出国できません。
例外的な場合を除き、出国命令対象者は出国命令により、退去強制対象者は退去強制手続きにより退去を強制されることになります。
出国命令の時は1年間、退去強制手続きの場合は5年間(10年間)日本に再上陸はできません。
入管法26条1項は「通常再入国許可」の要件を定めていますが、形式的な要件しか定めていません。審査要領にも再入国を許可しない一般原則を規定しているにすぎません。再入国の拒否に関する当局の裁量権の範囲が広範であることが要因です。
そこで問題となるのが、交通事犯でみられる退去強制事由に該当しないが1年以上の懲役または禁錮を執行猶予付きで有罪判決を受けた人がする再入国申請です。入管当局の行政解釈では、執行猶予付きでも「刑に処せられた」者に該当すると解釈しています。
従って、このような場合は上陸拒否の特例(入管法5条の2)か、上陸特別許可(入管法12条1項)を申請することになります。
行政書士 Office Ueda
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