「日本人の配偶者等」ビザは、外国人と日本人のとの間に法律上の婚姻意思があり届出されれば取得できるはずです。
しかし、入管当局はそれでは足りず、このビザを取得するには、日本人の配偶者と同居し互いに協力し扶助することを「日本人の配偶者」としの活動とし、これを行っていることが認められなければならないとしています。
現在の日本において、婚姻の形態もその夫婦により千差万別であることを考えるとかなり厳しい実務運用であるとも見えます。
また、事実上の夫婦として同居し子供がいても、法律上の婚姻が成立していないと上陸基準・在留資格上「日本人の配偶者」とは認められません。
このような運用になる最大の要因は、「日本人の配偶者等」ビザが就労制限のないビザであること、他の一般外国人に比べ「永住資格」が取り易い在留資格であることもあります。
婚姻を偽装して日本に入国し就労活動をしたいあるいはさせたいとする外国人の実態が背景にあります。
現実に婚姻の偽装を判断する要素として「別居」と「年齢差」があげります。
「別居」は婚姻破綻を伴うこともままありますが、半面単身赴任など正当理由のあるものもあります。「年齢差」は性交渉能力から推測しているようにも思えますが、婚姻生活はこれに全てを依存しているわけではないことは言うまでもありません。
このため「別居」や「年齢差」のあるカップルの場合は、婚姻の正当性について、法的な届出などの形式的な側面だけではなく、実質的に正当な婚姻をし継続していることの立証資料が不可欠になります。
これは、ビザ認定時・ビザ更新時共に必要になると考える必要があります。例えば、別居期間中に在留期間更新申請をするとき、別居の経緯・別居期間・夫婦関係の修復の可能性などの合理的な説明が必要になります。
なお夫婦関係が破綻し調停中の場合、以前は「短期滞在」に在留資格を変更するよう指示されていましたが、最近は、日本人の子がありそれを養育する場合には「定住者」の在留資格を申請するよう指導される場合もあります。
「日本人の配偶者等」ビザの在留期間内に離婚した場合、その段階で変更申請すべしとする実務運用はされていないようですが、早めの変更申請をお勧めします。
「家族滞在」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」のビザをもって在留する場合は、相手方の配偶者が死亡した場合、離婚した場合は、14日以内に法務大臣に届け出が必要です。(入管法19条の16)
届出を怠ると20万円以下の罰金に処せられます。(入管法71条の3第3号)
さらに、子のいないケースで離婚して日本に滞在を希望する場合も「定住者」の在留資格を申請することになります。
この場合は、来日から相当期間(原則3年、死別は1年)を経過していること、将来の日本での生活基盤のあることを許可の判断基準としているとされています。
婚約者として日本に入国し日本で婚姻を予定している外国人は、入国時点では「日本人の配偶者」ではないので、通常は「短期滞在」ビザで入国し婚姻してから在留資格変更申請をすることになります。
査証免除国から「短期滞在」で入国した場合、査証免除の趣旨に合っていないことを理由に婚姻後の「日本人の配偶者等」ビザへの変更が認められないケースもありますので、査証免除の対象者でも査証の発給を受けて来日するのが望ましいとされています。
「日本人の配偶者等」のビザは当初1年(国籍によっては3年)、問題なければ更新時に3年が適用されます。更新時に何回も1年しか付与されない場合は、婚姻関係の不安定さが原因と判断されている可能性もあると思われます。
行政書士 Office Ueda
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