会社設立と事業所要件
日本での会社の設立は準則主義と言って、法律上の要件が整えば、行政の許可なく会社を設立することができます。
株式会社場合、定款に会社の目的や商号、資本金、代表取締役(発起人)、本店の所在地その他を定め、公証役場で定款の認証を受け、その定款をもって法務局に登記の申請をすれば、普通に受理され会社を設立することはできます。
定款に定める内容も規制緩和されており、資本金は1円以上、代表取締役1人で従業員がいなくても株式会社は設立できます。また登記上の本店所在地は行政区画ベースでよく、例えば新宿に本店を決める場合でも、新宿区と届ければそれ以上の詳細な住所は不要です。
もっとも実際に起業する場合は、銀行口座や印鑑証明などより詳細な準備は必要です。
これに対して外国人が起業する場合は、上記のように比較的容易に会社を設立できても会社経営はできません。「経営管理ビザ」を取得しないといけないからです。
経営管理ビザを取得するための要件はいくつもありますが、ここではよく問題になる事業所について考えましょう。
外国人がこのビザを取得する要件に「事務所を確保すること」があり、ここでいう事務所には制約があります。
コストを抑えるためのバーチャルオフィスは会社登記をすることはできますが、「経営管理ビザ」にいう事業所には該当しません。
経営活動が単一の経営主体の下で一定の場所(一定の区画)を占めていること、財又はサービスの生産と供給が人および設備を有して継続定期に行われていることとする事業所の定義を満たさないからです。
レンタルオフィスの場合は、一定程度以上の広さがあり、設備が整っており、個室など明確な仕切りがあれば可能です。商品の保管が必要でない事業の場合はデスクが2つか3つ程度おければ可能でしょう。設備は通常の事務で使用されるパソコン、コピー機、電話・ファックスなど最低限のものがあればokです。さらに郵便受け、看板、標識も必要になります。
また実際に配置されていることを証明する写真が必要で、実態調査されることも視野に入れたほうがよいと思います。個室といっても仕切りに十分な高さがなく隣の声が聞こえたりするようなものは許可の可能性が低いと考えられています。
一戸建ての場合は、一階が事務所、二階が自宅など明確に区分されていないと認められません。従って、マンションの自宅兼用事務所は、例え部屋数が多く入口の部屋を事務所にする場合でも許可されないと判断した方が良いでしょう。
さらに、事務所を賃貸する場合は賃貸借契約の名義人が法人であること、賃貸借契約書に使用目的が事業用に明記されていることが必要です。
事務所がマンションの場合は、マンション管理規約に事務所での使用が認められている必要があり、住居専用など用途が制限されているとビザは許可されません。法人設立前で個人でしか賃貸借契約が結べない場合は、法人設立後に法人名義に変更できることの確約は不可欠です。
また店舗型ビジネスをする場合は、店舗内に個室の事務所があることや店舗とは別に事務所のあることが求められます。
経営管理ビザの取得には申請時に、会社設立・事務所の確保が前提になるため、申請してから許可が出るまでの間、事務所契約費用に加え、何ヶ月分かの家賃等の発生を伴います。
従って、設立にばかり気を取られて安易に会社設立をしたが、経営管理ビザの事務所要件を満たさないためビザが取得できないあるいは事務所の借り直しが必要になり多額の費用を要したなどの話も現実にあります。
事務所要件は簡単にはクリアーできないので、会社設立とビザの両方に詳しい行政書士の支援を受けるなど慎重な準備が必要です。
行政書士 Office Ueda
住所:東京都新宿区西落合3-10-1
NEW
-
2024.06.03
-
2024.05.31新宿 「行政書士 帰化⑧...「日本人の配偶者等」ビザは、外国人と日本人のと...
-
2024.05.30新宿 行政書士 帰化...帰化の相談②1.定住の意味➀30年以上日本にいて住民...
-
2024.05.29新宿 行政書士 帰化...帰化の相談➀1.手続き➀そもそもあなたは帰化申請で...
-
2024.04.09新宿 行政書士 経営・...新宿の企業さんからのご照会です。外国人の経営管...
-
2024.03.12新宿 行政書士 永住④「...在留資格「定住者」は特別な理由のある外国人に対...
-
2024.03.08新宿 行政書士 ビザ⑤ビ...就労ビザの申請をする際に気になる点は、「私の場...
-
2024.03.06新宿 行政書士永住⑤「...「日本人の配偶者等」の在留資格は、日本人と結婚...