就労ビザの申請をする際に気になる点は、「私の場合許可が取れるのか」「いつ許可が出るのか」の2点ですね。新宿でお勤めの方からの相談です。
前者は、許可要件に合致しているかと、その要件の内容をどう解釈し理解するかという点です。
後者は、申請して通常どのくらい期間がかかるかと、人によってその期間がなぜ変わるか、私の場合はどうなるのかという点です。ここでは、後者の許可までの期間についてまとめてみました。
就労ビザを例にとると、申請してから結果が出るまでの審査期間について実際にかかった期間の平均値が入管資料により公表されています。
しかし、個々の具体的な申請の期間は、この期間の半分から2倍以上まで大きな差があります。
なぜそれだけの幅が出るのでしょうか?その理由は主に3つあります。
第一に、申請の種類により審査期間が大きく異なるということです。申請には認定・変更・更新とありますが、認定は、就労のために海外から本人を呼寄せるために必要な「在留資格認定証明書」の申請です。海外にいる人が対象になるので、国内にいる場合のように在留期限が切れてしまうということがないので、急いで許可する必要がないと判断されているようです。
これに対して、在留資格を変更するあるいは在留期間を更新する場合は、既に在留資格を保有している人が対象となっているため、在留期限が迫っている人も多いため、認定に比べると優先的に審査する必要があると判断していると思われます。
第二に、就労ビザの審査は本人の審査と就労先の会社の審査の両方を同時に行う必要があります。とりわけ会社に関する審査は、その会社が申請する外国人にとってふさわしい会社なのかかどうかを審査されています。
具体的には、申請人と外国人との間の労働契約の内容(担当業務の内容・給与・労働時間・環境など)、会社の現況(申請人を雇用する必要性、就労業務の内容、会社の業務の安定性・継続性、会社の財務能力など)を審査します。これら会社の内容は、会社の業種・規模その他個々の会社の現況によりその調査・審査には相当な違いがあります。有名な大会社と極小会社や個人事業主とでは審査の手間の違いは容易に理解できるでしょう。
第三に入管当局の業務の繁閑も大きく影響します。特に、年明けからゴールデンウィークあたりまでは、留学後新卒で就労ビザへの変更申請する人や更新する人が多くいますので審査期間はズレ込みがちです。
以上3つの理由の大前提として、本人の問題は当然あります。過去に問題を起こしていると通常書類に加えて追加書類の提出を求められ、当時の状況やその後の状況が審査されます。
このように、申請書は同じ書類であっても、個人個人の申請している内容は異なります。外国人仲間の間で巷間語られやすい「あの人はすぐ許可が取れた」とか、「こうすれば簡単に取れる」とかいろいろいう人がいますが、置かれている状況が全く違いますので、あてにならないということは肝に命ずべきでしょう。
最後に最近公表されている代表的な在留資格の平均的な審査期間実績を載せましたので参考にしてください。(第1四半期令和5年4月1日から令和5年6月30日)
・技術人文知識・国際業務;認定(50.5日)、変更(41.8日)更新(31.4日)
・経営管理;認定(87.7日)、変更(57.3日)、更新(32.5日)
・技能;認定(66.9日)、変更(25.5日)、更新(27.6日)
・留学;認定(54.1日)、変更(26.2日)、更新(41.9日)
・日本人の配偶者等;認定(67.1日)、変更(31.6日)、更新(34.0日)
・定住者;認定(89.0日)、変更(34.8日)、更新(37.4日)
行政書士 Office Ueda
住所:東京都新宿区西落合3-10-1
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