新宿 行政書士 帰化⑥「オーバーステイ・執行猶予・前科」の影響

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帰化申請 永住権 在留許可 配偶者ビザ 経営・管理

国籍法5条1項3号に帰化申請の要件として「素行が善良であること」を規定しています。

日本語としては、日常生活で警察など官憲の厄介にならず穏やかに生活していることの意味と捉えられると思います。

しかし、この中には犯罪を犯して実刑有罪になり刑務所に収監されることは当然含まれますが、実務上はこれ以外にも次のようなことも対象になります。


実刑判決にはならなかったが執行猶予付きの判決を受けた場合、在留期間を経過してしまい不法残留(いわゆるオーバーステイ)の状態になること、さらに交通違反・税金の未納・社会保険料の未納、場合によっては内縁関係すらも問題となります。

勿論このような状況を経験しても永遠に帰化が許可されないかというと必ずしもそういうわけではありません。最終的には当局の判断によりますが、実際にはそれぞれの状況、罪状や違法状態の軽重、そのような状態になってからの素行状況、経過期間によって大きく異なります。


この分野についての法令上の規定や取扱いの現状は以下のようになっています。

➀実刑判決を受けた場合

刑法34条の2第1項に『禁錮以上の刑の執行を終わり又は刑の執行の免除を得たものが罰金以上の刑に処せられないで10年を経過した場合は刑の言い渡しは効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行をの免除を得たものが罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも同様とする。』と刑の消滅期間が規定されています。この規定により、10年経過すれば帰化の許可の可能性はあると言えますが、実務上は、犯罪の動機・内容・年齢その後の素行状況など総合的に判断されるため当然に許可されるわけではありません。


②執行猶予付き判決の場合

この場合は実刑判決の場合と違い刑の消滅期間のように明確に規定されていないため、執行猶予期間の2倍程度の期間が経過していることが実務上の基準とされていると言われています。

具体的には、「執行猶予3年」の判決を受けた場合、猶予期間の言い渡しを取り消されずにその期間を経過し、刑の執行猶予を受けてから6年を経過したら帰化が許可される可能性があると言われています。言い渡された刑の内容等により実際には異なることは実刑判決と同様ですが、実務上は法務局に事前に相談し悔悛状況を示す資料を添えて上申することになります。


オーバーステイの場合

在留期間経過後も不法に日本に在留したオーバーステイの場合も素行要件が問題となります。このような時はまず在留特別許可により在留資格が付与される必要があります。この場合も在留特別許可後10年を経過すれば帰化が許可される可能性がありますが、その明確な基準は示されていません。

従って、オーバーステイに至った経緯にもよりますが、事前に法務局に相談し、反省の意思を示したうえで申請することになります。また滅多にありませんが、オーバーステイに至る経緯に格段の事情があり、在留特別許可が直ちに認められるような特殊な場合に10年を待たずに帰化が許可されるケースもあったと言われますが、いづれにしても事前に法務局との相談は不可欠です。


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