帰化、永住その他在留資格認定・更新・変更などで時々あります。
「許可申請に必要な書類を全部出したのになんで不許可になるの?」
杉並区在住、新宿でお仕事をされている外国人の方からのご相談です。
不許可になる原因はいろいろ考えられますが、許可を得るには法令上の要件を満たしている必要な書類を提出するのは大前提ですよね。
しかし法令上の要件は様々なケースに適用できるよう抽象的に定められていますので、その法令の文言を自分に都合よく解釈することは極めて危険です。ご本人のお気持ちは、「転職して同じ仕事に代わっただけなのになんで不許可になるのか」という点です。そのお気持ちはわかりますが・・・。
ご自身に大きな変化はないと感じても、転職先の会社は以前の会社と全く同じではありません。例えば、在留資格の要件に「生計要件」というのがあります。
外国人が日本で就労ビザを受けるには日本で継続的に生活できる収入の確保が必要です。転職先の会社はその方の仕事に見合った水準の給与を払っているのか、その金額は日本で独立した生活をするのに充分な金額か、さらにその給与を継続的安定的に支払う労働契約になっているか、その会社はその金額を継続的安定的に支払うだけの財務力があるかなどが審査されます。これらに抵触すると不許可になる可能性は高まります。
このように法令は文言のみでは明確にわかりません。定められている内容を正しく把握するためにその内容を解釈する必要があります。それは自分で都合よく解釈することではなく、法律解釈のルールに拠らなければなりません。
法律解釈のもとになるのは、法律の構成、法律の文言、裁判例(判例)、先例、行政解釈、行政の内規、学者の見解その他様々です。裁判例・先例 ・行政解釈の多くは公表されていますが、内規などは部分的に開示されているものもありますが、公表することが当然の前提にはなっていません。
これは行政側に裁量権があることあるいは行政側に開示義務がないことに帰因します。
また提出した書類が要件に合致していることを証明するため立証資料が必要になることもあります。立証資料は許可のための要件が満たされていることを確認するための手段でもあります。
単に立証資料を提出したという形式的な要件に加えて、提出された資料が正当な手続きを経て作成され、その内容が客観的な事実に合致し、その内容が許可要件を満たしているなど実質的な要件をも具備していることが不可欠です。
不許可の理由が修正されないと、再申請してもその原因が解決していないとして再度不許可になります。さらに法務局の帰化の場合は不許可理由は全く教えてくれません。入管の諸申請の場合も限定的にしかその理由を教えてくれません。
一見簡単そうな申請にもこのような複雑な作業が背景にあります。外国人の方が安易に自分で申告して失敗する原因はこんなところにもあります。
許可申請では申請人の置かれている個別の事情に応じて様々な書類を用意する必要があります。一旦不許可になった後の再申請の難しさを考えると、最初の申請の段階で国際関係に詳しい行政書士の支援が必要なことはご理解頂けたと思います。ひとつの申請やひとつの不許可がその外国人のその後の人生を大きく変えてしまう可能性か常にあることにご留意ください。
行政書士 Office Ueda
住所:東京都新宿区西落合3-10-1
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